どうしても集中力が続かない
どうしてうちの子は勉強に集中することができないの?
集中して勉強に取り組むことで、勉強した内容が記憶に残りやすくなることが知られています。注意散漫な状態で勉強していてもダメということですね。
【この記事の結論】
- 勉強を楽しいと思うことで集中力が持続する。
- 有意義かつ自分にとってギリギリ達成できそうな目標を立てることで、さらに集中力が高まる。
- 乳製品や糖分などを程よく摂取することで、集中力が枯渇しない。
集中力の仕組み
集中状態は、ドーパミンと呼ばれる興奮系の脳内物質の分泌によって生じることが知られています。ドーパミンが分泌されると、GABAと呼ばれる興奮を抑制するたんぱく質が生成されて集中状態が切れます。よく「人の集中力は15分しか続かない」と言われている理由は、このドーパミンの分泌によって集中力が高まってから、GABAの分泌によって集中状態が抑制されるまでの一連のサイクルがおおむね15分で行われるからです。
例えば2017年にベネッセが実施した調査では、45分間連続で勉強するよりも15分毎に休憩をとった場合の方が学習能率が高くなるという結果が出ました。じゃぁ勉強する時も15分ごとに休憩をとることが理想かと言われると、そう単純ではありません。休憩後に再び集中状態にもっていくにも時間がかかってしまうので、僕は15分置きに休憩を取る方法はお勧めしません。
集中力を長時間維持する秘訣
ゲームに夢中になる子どもって多いですよね。放っておいたら何時間でもゲームをしてしまうという子どもに悩む保護者も多いと思います。また、面白い漫画を読んでいるときでも、15分で飽きてしまうということは無いですよね。
この理由は、βエンドルフィンと呼ばれる物質が深く関わっています。
βエンドルフィンはGABAを抑制する物質で、「楽しい」「気持ちいい」と感じることによって脳内に生成されます。さらに、「おいしいものを食べる」「寝る」「勝利したり危機的な状況を脱する」など本能的な欲望を満たすと多く分泌されます。
つまりゲームや漫画はなど本能を刺激しやすいものは、集中力が長く続きやすいということです。
勉強も楽しいと思うことが出来れば、長い時間集中することができます。分からなかった問題が分かるようになる楽しさ、難しい問題に挑戦して正解する楽しさなど、勉強には様々な楽しさがあります。知識欲を満たす楽しさを知ることで、勉強が楽しいと思えるようになります。ただ、勉強がそもそも楽しいと思ったことがない子は多いと思います。かつての僕も中学3年生までは勉強が苦痛でした。中1から中3の夏まで全教科平均点を取ったことが無い上、一桁の点数を取ったことも1度や2度ではありませんでした。もちろん成績順位は学年最下位です。
勉強が楽しくなる方法
僕は学校の勉強から年単位で後れを取っていましたし、僕が受け持った生徒でもここまで重症の人はいなかったと思います。つまり僕は世間一般の人よりも不出来で、人よりも多く失敗を克服してきた経験があります。従って、読者の現状を克服する方法を一番よく知っていると自負しています。
勉強が楽しく感じるには、まずは自分が理解できるレベルに学習の内容を調整しましょう。僕の場合、中3の頃に中1の初めにならう内容に立ち返ったり、場合によっては小学生の内容までレベルを落として勉強しなおしました。分かるレベルまで落として分かる喜びを体験しましょう。
高い集中状態を長く維持する秘訣
もう一歩踏み込んで考えてみましょう。何かに時間を忘れて没頭する経験はありませんか?
集中力が極限まで達すると時間や我を忘れてその対象に没頭するようになります。この時間を忘れて何かに没頭する状態を、フロー状態と呼びます。これはクレアモント大学(アメリカ カリフォルニア州)の心理学者、Mihaly Csikszentmihalyi (ミハイ・チクセントミハイ)が提唱しました。
勉強中も、フロー状態になることが理想です。ではその理想状態はどうしたらで達成できるのでしょうか。
フロー状態に突入する条件はいろいろと定義されていますが、分かりやすく紹介すると以下にまとめることが出来ます。
- 自分にとって有意義で、かつ明確な目標があること
- すぐに結果が得られること
- 頑張ればギリギリ達成できそうな難易度であること
勉強に当てはめてみましょう。例えば学校の勉強にギリギリついて行けている子の場合は次のケースが当てはまります。
- 次のテストで苦手科目で平均点以上を取るという目標を設定(自分にとって有意義かつギリギリ達成できそうな目標設定)
- 問題集や参考書の問題を解く(すぐに正誤の結果が得られる)
僕が勉強していなかった頃は、よくテスト前日に一夜漬けをしていました。決して勧められる方法ではありませんが、一夜漬けはフロー状態になりやすいです。なぜなら「明日のテストで少しでもいい点を取る」という「その時の自分にとって有意義な目標」を設定することが容易だからです。経験上、その目標の有意義性が今の自分にとって高ければ高いほどフロー状態に突入しやすくなります。従って、テスト前日の夜などテスト勉強への有意義性が顕著に高まる場面ではフロー状態に突入しやすくなります。
まずは明確な目標を持ち、その目標が自分にとって高い有意義性をもつことを理解しましょう。一日ごとに目標を分けることも目標を具体化するために効果的です。例えば、「今日は数学の連立方程式について、参考書の何ページから何ページまでの問題をすべて理解する」といったように具体的かつ明確な目標を立てるようにしましょう。
集中力を高めるための食生活
体は食べ物からできています。集中状態ではドーパミンや、脳の燃料となる糖分が消費されます。消費された分を補うために普段の食生活を見直しましょう。
ドーパミンはチロシンと呼ばれるアミノ酸(たんぱく質の素)を原料とします。お肉や大豆に含まれる必須アミノ酸、乳製品、ニンニクなどに含まれるビタミンB群や鉄分を摂取しましょう。特に乳製品からチロシンが多く摂取できますので、積極的に取り入れましょう。
特に長時間集中状態が続くと脳が疲弊するため、糖分の摂取も必須です。
まとめ
集中力を長く保つためには、まず勉強の楽しさを知りましょう。授業についていくことができないような、勉強が苦手な子には難しく聞こえるかもしれません。しかし、実はそんなに難しい話ではないです。僕も中学3年生まで中1で習うBe動詞を知らなかったり、連立方程式が解けなかったりと学校の授業からは年単位で置いて行かれていました。この場合、理解できるところまで一旦戻って学習しなおすことが重要です。ぎりぎり理解できる部分まで立ち戻り、理解できる場所から問題を解いてみましょう。分からなかった部分がどんどん理解できるようになり、楽しいという気持ちが湧いてくることを実感できるはずです。
次に、近い将来でギリギリ達成できそうな目標を具体的に設定しましょう。設定する目標は、自分にとって有意義なものにしましょう。例えば「次の苦手科目のテストで平均点数以上をとるために、苦手科目のテスト範囲を学習する」などが良い例です。自分の実力でギリギリ突破できそうなハードルを設定することでフロー状態に突入しやすくなります。
また、日々の食事も気をつけましょう。集中状態を続けるためには多くの原料を消費しなければなりません。乳製品や糖分など、ドーパミンの分泌や脳の活動に必要な食事を多く摂取しましょう。もちろん偏食は他に異常がでてしまうので、バランスの良い食事を取ることを心がけてください。
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