勉強で覚えなきゃいけないことって多いですよね。
だけどさぁ覚えようと思った時に、頑張って暗記するんですが、テストまでに覚えきれなかったり、テストが終わったら忘れちゃう人って結構多いんですよ。
こういう人って試験範囲が広い受験ではかなり苦戦を強いられます。
僕は勉強していた時に暗記に高い効率性を求めなかったので、非常に辛い経験をしました。なぜ暗記方法に高効率を追求する必要があるか説明します。
戦略なしに暗記してはいけない理由
戦略とは、つまり覚えなければいけない事を完璧に覚えるまでにかかる時間をどのように短縮するかということです。
単語のような母音と子音を混ぜた無意味な文字列を記憶し、再び記憶しなおすまでにどの程度の時間を短縮できたか、その時間依存性を調査した実験があります。
エビングハウスというドイツの心理学者が1880年代に実験し、1885年に忘却曲線というものを提唱しました。節約率とは、再び覚えなおしたときに1回目と比較してどの程度早く覚えることが出来たかを示します。例えば記憶した4日後に再び覚えなおすと、節約率はおよそ25%なので一回目に記憶に要した時間の約75%の時間で覚えなおすことができるというものです。4分かけて覚えたものであれば、再び覚えなおすのに3分かかったということですね。
この様に節約率は指数関数的に下がっていきます。この曲線はエビングハウスの実験結果にフィッティングした曲線ですので、実験方法によっては異なる下がり方の曲線が描かれます。しかし節約率ないし記憶が時間の経過とともに指数関数的に下落するという点ではどの研究結果でも共通です。
今日はこれを使って思考実験をしてみましょう。
あなたは英単語1つを覚えるのにどの程度時間をかけますか?
何度も書いて、何度も読んで、そうしていたら3分程度はあっという間に過ぎるはずです。では、ここでは1単語を3分かけて覚える場合を考えましょう。文部科学省では中学校で習う英単語は1600~1800程度としています。また、アマゾンで大学受験用の単語帳を調べると上位にこれがでてきたので、ひとまず1900個を覚えることにしましょうか。
1900個覚えるためには1900[個] x 3[分] = 5700[分] = 95時間です。
1日に勉強しなきゃいけないのは英単語だけではありません。数学も理科も社会も国語も勉強します。なのでひとまず1日1時間としましょうか。すると1周するのに95日かかります。
忘却曲線では95日後の節約率は19%です。ちなみに忘却曲線の数式は以下です。
すると、2周目は95[日] x (1-0.19) = 77[日]かかります。2周目以降の節約率は上の式よりも緩やかということにしましょうか。わかりやすいように、例えば2周目以降は「節約率 = 上の式の節約率 + (周回数 – 1) x 10%」としましょう。同じような実験の論文が見当たらなかったので、ひとまず仮定してみました。さて、7周することを考えると、経過日数を計算するとこうなります。小数点は繰り上げています。
- 2周目完了時:経過日数172日(2周目で要した日数77日)
- 3周目完了時:経過日数227日(3周目で要した日数55日)
- 4周目完了時:経過日数260日(4周目で要した日数33日)
- 5周目完了時:経過日数277日(5周目で要した日数17日)
- 6周目完了時:経過日数284日(6周目で要した日数7日)
- 7周目完了時:経過日数286日(7周目で要した日数2日)
概ね10ヶ月近い時間を要すことがわかります。注意点として、2周目以降は科学的根拠が無い仮定の話をしていますので、これより大幅に時間がかかることもあり得ます。念のため50%の安全率を考慮すると、まぁ20ヶ月以内には7周終わるかなというところですかね。当たらずも遠からずだと思います。
1日英単語だけで1時間を20ヶ月連続してできますか?しかも大学受験の場合はやらなきゃいけない英単語帳ってこれだけじゃないですよ。必要な英単語全部覚えるのに何年かける気ですか?何年浪人する気でいますか?
たかが一冊にここまで時間かけてられないんですよ。だから効率化してもっと短時間で周回数を上げなければならないんです。これが戦略が必要な理由です。
暗記する時間は短縮できる
具体的な戦略はといえば、浅い記憶を何度も塗りなおしていくという方法があります。
どうせ覚えてもすぐに忘れてしまうことは自明の理ですから、一度に覚える気で挑まずにさらっと読むことを積み重ねるという手法が効率的です。これは単語の暗記だけでなく、あらゆる教科書や参考書を覚える際も有効だということが実証されています。
ここで、勉強する意思が強い人ほど不安に駆られます。覚えてないのに先に進んでいいの?という不安が先に立つと思いますが、これが短時間で効率よく覚える方法です。作戦通りなので落ち着いてください。まずは騙されたと思って進んでください。そして周回してください。章ごとに周回すると、すぐに戻れるのでお勧めです。
速度が重要なので、書かない声に出して読まないを徹底してください。目で追うだけでいいです。
1周目は数秒程度で目を通して、二周目見たときにどっかで見たよなぁと思えればOKです。教科書であれば見出しだけ読むだけでも良いです。まずは全体像をさらっとつかみましょう。単語の場合はどんな単語があるかちらっと見るつもりで目を流しましょう。
2周目は1周目よりも若干細かく見ます。見出しだけじゃなくて内容を流し読みします。分からないところはそのままで良いです。
何度も周回すれば覚えているところと覚えていないところがでてきます。
そしたら覚えていないところや、わからないところを重点的に読むようにしましょう。時間の無駄なので、分からないところを深追いはしなくていいです。しかしわからないところを重点的に読みます。覚えているところでも、さらっと目は通しておきましょう。
一度知識をいれてしまえば覚える時間が短縮していきますので、まずは知るつもりで周回を重ねていきましょう。
単語であれば、1単語1秒でぱっと答えが浮かぶまで周回を積み重ねましょう。
コツは書かない事、声に出して読まない事、時間をかけない事、とにかく周回を積み重ねていくことです。まずは実践してみてください。
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