内申点ってよく聞くけど、どうやって計算されるの?
内申点は都道府県によって計算方法と評価方法が違うねん。東京と茨城を例に、計算方法と評価方法の具体例を紹介するわ。
高校受験には内申点と呼ばれる学校の成績を含んだ調査書の点数と、高校入学試験の点数の双方が加味されます。まずは調査書への影響を説明しましょう。
この記事を読んでほしい人
- 内申点の計算方法が気になる中学生の保護者
- 高校入試での評価方法が気になる方
- 特に茨城県、東京都に在住の方
内申点とは何か、注意したいポイント
内申点は都道府県によって評価方法が異なる
中学校は、生徒一人ひとりの評価を調査書と呼ばれる書類にまとめます。内申点とは調査書に記載される各教科9科目(国語・社会・数学・理科・音楽・美術・保健体育・技術家庭・外国語)の評定のことです。内申点は調査書の点数のほとんどを占めるので特に重要視されています。注意すべきところは都道府県によって評価方法が異なるため、詳細は各都道府県に設置されている教育委員会のホームページを確認しなければ詳細な計算方法が分かりません。この記事では茨城県、東京都の教育委員会のホームページで公開されている情報のみを使用して、具体例を紹介しています。
都道府県によって異なる部分
- 評価基準
- 評価対象の学年
- 内申点の計算式
内申点の高校入試への影響
中学校が作成した調査書をどのように評価するかは受験する高校が決めます。私立高校と公立高校では評価方法が全く異なる場合があります。
公立高校の場合は教育委員会の規定に則りますが、私立高校の場合は全く加味しない高校もありますし、限定的に加味する高校や公立高校と同様に評価する高校もあります。私立高校が調査書をどのように評価するか前もって調べましょう。
ただ、私立高校は一般的に各都道府県に設置されている私学協会が公表している調査書の様式に準ずる高校が多いです。
内申点の評価方法の具体例、東京都と茨城県の場合
茨城県内の高校受験における内申点の評価方法
内申点の計算式
公立高校入試:中学3年間9教科全ての成績 135点満点評価
私立高校入試:中3のみの成績 45点満点評価(私学協会に準じている場合)
僕が住む茨城県の公立高校では中学3年間すべての成績が均等に考慮されます。詳細は茨城県教育委員会が公開している茨城県立高等学校入学者選抜実施細則をご覧ください。
内申点は9教科の各学年の5段階評価で3年分ですから、\(9\times5\times3=135\)点満点評価です。
一方で、私立高校では中学3年のみの成績が考慮されます(私学協会に準じている場合)。
通知書の成績ですから、定期テストだけではなく、課題の提出や、授業に積極的に参加する態度、グループ学習の発表や発言、小テストの点数などが加味されます。
公立高校による内申点の評価方法
- 内申点、試験成績の両方高い受験生で、定員の最大80%を埋める
- 残り20%以上の定員枠は、試験成績重視および内申点重視で選抜される
- 試験成績重視型、内申点重視型で選抜される人数割合は学校によって異なる
茨城県では選抜枠が2つあり、内申点も試験成績も両方高い成績を収めた受験生(A選抜)、A選抜に漏れた受験生を試験成績重視で選抜する、もしくは内申重視で選抜する枠組み(B選抜)があります。
A選抜では最大でも定員の80%までしか選抜されない仕組みで、残りの20%以上の定員はB枠で選抜されます。
B選抜の枠組みの中では試験成績を重視、または内申点を重視して選抜するそれぞれの人数割合が高校毎に規定されています。
例えば茨城県内1位の県立進学校である水戸第一高校普通科での評価方法は「入学試験:調査書」の比率は「8:2」です。一方で、適当に選びましたが土浦工業高校機械科では「7:3」、真壁高校普通科では「5:5」となります。
受験者数が定員オーバーした場合、水戸第一高校など試験成績重視で選抜する割合が多い高校では調査書の評価が多少低くても入学試験で挽回が望める一方で、真壁高校など調査書の評定が重視される高校では調査書の評価は致命的になります。
茨城県公立高校の具体的な選抜方法については以下の記事に詳細をまとめていますので、合わせてご覧ください。
東京都内の中学校における内申点の評価方法
内申点の計算式
都立高校:中学3年2学期の成績のみ。 65~75点満点
私立高校:中学3年間全ての成績が記載される (私学協会に準じている場合)
東京都では茨城県とは異なります。参考として2024年に東京都教育委員会が発行した資料を用いて解説します。
推薦と一般入試で計算方法が異なるのですが、今回は一般入試についてのみ紹介します。
都立高校の場合
都立高校入試では中学3年の2学期の成績が考慮されます。しかし2学期の成績は1学期の成績も考慮して評価する中学校がほとんどなので、実質1学期と2学期両方が考慮されると言ってもよいでしょう。
評価対象は茨城県と同様の9科目ですが、入学試験の教科によって評価方法が異なります。多くの都立高校は「国語・数学・英語・理科・社会」の5教科を実施しますが、一部の都立高校では3教科「国語・数学・英語」の3教科のみ実施されます。
試験する教科の内申点を1倍とし、試験しない教科の内申点が2倍になります。つまり3教科型(\(3\times5\times1+6\times5\times2=75\)点満点)の学校と5教科型(\(5\times5\times1+4\times5\times2=65\)点)の学校では内申点の満点が異なります。
私立高校の場合(私学協会に準じている場合)
評価方法は高校によって異なりますが、調査書には中学3年間全ての成績が記載されます。参考として令和7年度の調査書の様式を示します。
リンクの中段、調査書のエクセルシートをご確認ください。
私学協会では書き方を指定していないため、計算式は高校によって異なる可能性がありますが、様式に「評定」と明記していますので、内申点は\(5\times9\times3=135\)点満点になることが考えられます。
都立高校による内申点の評価方法
学力試験と内申点の割合は都立高校によって変わる。
偏差値が高い学校ほど学力試験で逆転が図れる仕組みである。
注意したいのは、高校によって内申点の評価割合が変わる点です。
内申点+入試成績は1000点満点です。これはどの高校も変わりませんが、内申点:入試成績=3:7の場合は内申点は300点満点に換算されます。4:6の場合は内申点は400点満点に換算されます。
例えば東京都内屈指の難関校、国立高校では「学力試験:内申点」の割合は「7:3」です。
学力試験700点、内申点300点、スピーキングテスト20点の1020点満点です。国立高校は学力試験で5教科実施なので内申点の換算前の満点は65点となります。
一般的に倍率が高く偏差値が高い高校ほど学力試験で巻き返しが図れる仕組みになっています。
内申点の対策
内申点は都道府県によって評価方法が異なるので、当然対策方法も都道府県によって変わります。
茨城県内の中学校に通っている場合
茨城県では中1から中3までの通知表の評定が等倍率で考慮されます。偏差値の高い高校を目指す場合は、中学生活を通して抜け目なく通知表の点数を高く維持することが求められます。
中学校ではつまづいてしまうポイントがあります。特に中学校生活が始まる中1初期や、勉強内容が発展する中2の時期では、前もって授業の予習をすることや、習ったことを復習することで常に遅れをとらないように心がけましょう。
東京都内の中学校に通っている場合
東京都では中3の評定のみが考慮されます。かといって、中1から中2までは遊んでても許されるわけではありません。いきなり通知表の評定を上げることはできませんから、遅くとも中2の1学期から通知表を意識しましょう。
例えば音楽など入学試験に関係のない科目でも、内申点では評価が2倍されますので手を抜かないように気を付けましょう。
内申点の上げ方
評価方法を理解しよう
各教科の内申点は以下の項目から評価されます。
- 知識・技能(基礎力ができているか)
- 思考・判断・表現(応用力ができているか)
- 主体的に取り組む態度(提出物や授業中の発言など)
これら3項目をA、B、Cで評価をつけます。
小テストや定期テストで良い点数を取ること、そして宿題の提出、積極的な質問や議論への参加によって評価が上がります。
成績のつけ方
1クラスの中でA、B、Cの割合は決まっています。40人クラスの場合は以下のような割り振りです。
- A(よい):8人前後(全体の20%程度)
- B(普通):28人前後(全体の70%程度)
- C(もう少し):4人程度(全体の10%程度)
例えテストも提出物もそれなりに出来ていたとしても、クラスの中で上位20%程度に入らなければA評価はもらえません。
成績の上げ方
- 提出物の期限は絶対に守る
- 質問や議論への参加など、授業に積極的に参加する
- 習ったことを何度も復習し、テスト対策を怠らない
内申点の具体例と対策まとめ
内申点は都道府県によって評価基準と対策が異なります。詳しくはお住いの都道府県の教育委員会のホームページをご確認ください。
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