調査書って入試ではすごく重要って聞くけど、一体どんな内容が書かれているの?
公式資料を用いて、それぞれの項目を紹介しよう!
公立高校と私立高校によって調査書に書かれる内容は異なるよ!
この記事の信頼性
- この記事の情報は、文科省、茨城県教育委員会、茨城県私学協会が公開している各種公式資料に基づいています。参考した資料を知りたい方は、末尾の「この記事の参考文献」をご確認ください。
- 公式資料が無く、筆者の想定で語る場合は必ず「筆者想定」と記し、公式情報とは区別します。
- 筆者の想定で語る場合は、想定する根拠を示します。
- 紹介する内容は2024年7月現在で最新の情報です。
この記事を読んでほしい人
- 茨城県の公立高校および私立高校を受験する子と、その保護者
- 茨城県の高校に提出される調査書の内容が知りたい方
この記事でわかること
- 調査書の内容と、書かれる項目
- 公立高校、私立高校での調査書の重要性の違い
- 合格するために注意したい調査書対策
そもそも調査書とは何か
調査書は受験者が中学校で励んだ学習状況や、注力した活動、出席状況、そして通知表の成績が記載されます。
調査書の中でも通知表の成績は内申点として特に重要視されます。
調査書は在籍する中学校校長が作成し、受験する高校に提出されます。
公立高校の調査書の様式は各都道府県に配置された教育委員会が定める一方で、私立高校の調査書は各私立高校が定めます。とはいえ各県には私学協会というものがあり、私立高校の調査書の様式は「私学協会の様式に準ずる」としている高校がほとんどです。
つまり、各都道府県によって、そして公立・私立によって調査書の内容が異なります。
茨城県公立高校が用いる調査書の様式と書く内容
公立高校入学試験で提出される調査書の様式、書き方は教育委員会によって規定されます。
茨城県では全9項目から構成されますが、一つずつ具体的に項目の内容を紹介しましょう。
最も大事な内申点の項目
調査書の中でも特に重要なものが「1 各教科の学習の記録」の評定の欄です。この項目は内申点と呼ばれ、合否判定に直接かかわる最も重要な項目です。
茨城県公立高校では、中学1~3年までの9教科5段階の評定の総合値135点満点が内申点として評価されます。
ではその左横、「観点別学習状況」とは何でしょうか。これはA、B、Cでランク分けされる項目です。通知表でも見れる項目かと思います。
文科省の資料を参考に、各項目の評価基準を分かりやすく解説しましょう。
- 知識・技能:定期試験などペーパーテストの点数
- 思考・判断・表現:グループワークやレポートの作成、発表など
- 主体的に学習に取り組む態度:家庭学習などの自主的な学習状況
茨城県教育委員会では、公立高校の入試において「観点別学習状況」の評価方法は規定していません。つまり記載はされるけれども、評価方法は各高校に一任している状況です。
内申点ほど重要な項目ではありませんが、選抜に影響する場合もあると考えてよいでしょう。
その他の評価項目
番号 | 項目名 | 記載内容 |
2 | 総合的な学習の時間の記録 | 3年間の生徒の学習状況で顕著な項目、どのような力が身についたかが記載される。 |
3 | 特別活動の記録 | 学級委員、生徒会、学校行事委員での活動記録を記載 |
4 | 特別活動に関する事実及び所見 | 特色選抜の出願要件に係る具体的な実績を記入。 |
5 | 行動の記録 | 3年間の生徒の活動記録 |
6 | 部活動・特技等の記録 | 部活動の参加、活動状況、特色選抜の出願要件に係る具体的な実績を記入。 その他資格、学校内外のスポーツ、文化、芸術、ボランティア活動など |
7 | 欠席日数 | 欠席日数が各学年ごとに10日以上ある場合は理由をその他事項に記載する。 |
8 | 体力テスト | 3年次の総合判定をA,B,C,D,Eで記載。 |
特色選抜の場合は、項目4および項目6が非常に大事になってきます。
また欠席日数は、各学年で10日以上休んだことがある場合、真っ当な理由がなければマイナス点になる可能性がある点に注意しましょう。
どの項目も評価方法は受験する高校に一任されていますので、欠席に対する寛容度合いは高校によって異なると言えます。
茨城県私立高校が用いる調査書の様式と書く内容
私立高校の入学者選抜は教育委員会の管轄ではありません。
高校で自由に書式を決めることが出来、例えば江戸川学園取手高校など学校独自の調査書の様式を設けている高校もあります。
各都道府県には私学協会というものが設立されており、協会の様式(上の図)に準ずる高校が多いです。江戸川学園取手高校のように、独自の書式を設けていても協会の書式にも対応している高校もあります。
私学協会とは何か簡単に説明すると、私学同士の連携や教育に関する研究、国に対する陳情・要望活動を行う民間の団体です。
茨城県私学協会が定める様式では、6項目の記載カ所があります。それぞれ見ていきましょう。
最も大事な内申点の項目(私立)
私学協会の様式では、内申点の項目である『学習の記録』は3年生時のみの成績を記入します。内申点は9教科5段階評定なので45点満点で評価されます。
1~2年生の評定が低くでも記載されないので、評価されることはありません。
ここが公立高校と大きく異なる部分ですね。
ただし欠席の記録は1~3年の3年間の記録が記載されるので、1~2年生時に不登校気味であるなど長期間休んでいる場合はマイナス評価になります。
その他の記載項目
記載項目 | 記載内容 |
行動の記録 (第3学年) | 公立高校の様式の第5項目「行動の記録」に準じると考えられる。 |
欠席の記録 | 公立高校の様式の第7項目「欠席日数」に準じると考えられる。ただし各学年で7日以上休んだ場合は理由を記載する必要があり、公立高校の場合の閾値(10日)と異なる。 |
特別活動の記録 | 公立高校の様式の第4項目「特別活動に関する事実及び所見」に準じると考えられる。推薦入試では推薦条件を満たす具体的な内容が記載されると思われる。 |
部活動・特技等の記録 | 公立高校の様式の第6項目「部活動・特技等の記録」に準じると考えられる。推薦入試では推薦条件を満たす具体的な内容が記載されると思われる。 |
特記事項 | その他特筆すべきアピールポイントが記載されると考えられる。 |
あいまいな表現になってしまいますが、各高校のホームページを調べても記載方法に関する資料は見当たりませんでした。上の表で紹介した記載内容は全て筆者の推測になりますので、あくまで参考程度にとどめて下さい。
茨城県私学協会では様式は掲載されていますが、書き方までは記載されていません。しかし公立高校の様式と一致する項目は同等の記載内容になることが考えられます。
どのような内容が書かれるか、具体例が知りたい時は学校の先生に聞きましょう。
公立高校と私立高校の調査書の違い
公立と私立で異なる部分のうち、特に重要な部分をまとめましたので、参考にしてください。
項目 | 特に注意したい相違点 |
内申点 | 公立:3年間の評価の合計135点満点 私立:第3学年の評価の合計45点満点 |
欠席の記録 | 公立:各学年で10日以上の欠席があれば理由の記載が必要 私立:各学年で7日以上の欠席があれば理由の記載が必要 |
この記事の参考文献
この記事は以下の資料を参照しています。もし上で紹介した以上に具体的な内容を知りたい方は参照してください。
ただし将来的にリンク切れが予想される年度更新の資料については資料名のみ記載します。
出典 | 資料名 | 公開日(改正日) |
茨城県教育委員会 | 令和6年度茨城県立高等学校入学者選抜実施細則 | 令和5年11月 |
茨城県私学協会 | 私立高等学校 入学志願者調査書(茨城県私学協会標準様式) | 令和2年度 (令和7年度入試も有効) |
独立行政法人教職員支援機構 | 新学習指導要領に対応した学習評価(小・中学校編) | 不明 |
文部科学省 教育課程部会 | 学習評価の現状と課題 | 平成29年12月 |
江戸川学園取手高校 | 2025年度入試要項 および 入学志願者調査書(2025年版) | 令和6年度 |
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