入試の難易度って毎年どう変わるの?
難関校の合否のボーダーラインの点数って、入試の難易度で左右されるよね。毎年どれだけ変わるの?
難度が易しくなれば、より多くの点数を取らなければ合格できませんし、難しくなれば少ない点数でも合格できます。難度変化に伴ってボーダーラインは変わるため、試験の難易度の傾向を予測することはとても重要な要素です。
近年は傾向が毎年変わりがちで、各教科の難易度はここ数年で大きく変化しました。
でも5教科全体の点数分布で見ると、総合的な難易度はここ3年間はあまり変わっていないんです。
今回は直近4年間の総合的な試験難度の変わり方と、難関高校の合否を決めるボーダーラインが毎年どの程度変わっているかについて解説しましょう。
読んでほしい方
- 茨城県公立高校入試について近年の全体的な傾向を知りたい方
- 公立高校を志望しており、目標点を知りたい方
- 難関校のボーダーラインの変化傾向を知りたい方
結論
- 2021年に採点ミスが発覚し、試験難易度が大幅に易化した。
- 2022年以降は2024年まで難易度はそれほど変化していない
- 難関校のボーダーラインは2022年以降は2024年まで-3~+2点程度の変化でほぼ一定
- 2025年以降もしばらくは総合的な難易度に大きな変化は無いと予想する。
書いている人
学生時代に塾講師および家庭教師として150名以上の教え子を持たせていただきました。
当時の経験を活かし、役立つ入試情報を皆様にお届けしています。
現在は工学系のエンジニアをしています。
得意のデータ解析を活かし、他のサイトでは見つからない情報を発信することがモットーです。
注意
この記事では茨城県公立高校入試の全教科の合計得点について、全体的な分布と傾向を解説します。各教科個別の解説は行いません。
近日中に各教科の傾向に関する解説記事を掲載する予定です。
記事が出来次第こちらにもリンクを貼りますので、是非またいらしてください!
茨城県高校入試の近年の傾向
横軸:受験者の人数割合
縦軸:40点ごとに区切った点数値域(21点以降は40点毎、0~20点は別枠で集計)
まずは直近4年でどのように点数分布が変わったか紹介します。
これは茨城県教育委員会が毎年5月ごろに公表する、その年の試験結果をまとめた資料に基づいて点数分布を年度別にグラフ化したものです。
380点以降に注目すると、2021年は極端に人数割合が低く、2022年から2024年はほぼ同じ人数割合になっています。
一方で、140点以下の低い点数域を見ると、2021年の人数割合が突出しています。
もっと分かりやすく難易度の変化を追うために、標準偏差と平均値の変化を見ていきましょう。
「標準偏差」は聞き覚えが無いかもしれませんが、データの散らばり具合を数値化したもので、下の図の様に算出されるものです。
茨城県高校入試の難易度の変化と傾向
平均点と標準偏差の推移
受験者の点数分布のばらけかた、つまり標準偏差は過去4年間でほぼ変わっていません。
平均点は2022、2023、2024年は5点以内で上下していますが、2021年は直近3年よりも20点程度も下回っています。
これは2021年に大規模な採点ミスが発覚したため、再発防止として記述回答の問題を削減したことにより難易度が大幅に易しくなったことが原因です。
採点ミスは一時期ニュースになっていたため覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
78校で988件の採点ミスが発覚し、採点担当やその上司など、関係者1155人が罰せられました。うち197名は懲戒処分となっています。茨城県の高校入試業界で、正に激震が走った事件でした。
2021年以前の茨城県高校入試では、他府県と比較して記述問題が多い傾向にありました。また、回答方法が画一されていない問題も多く、採点者の判断任せな部分も多かったことが採点ミスへと繋がったと考えられています。
2022年では記述問題が殆ど消えたため、例えば国語では1000名以上の満点者が出るなど異例の事態となりましたが、その後徐々に記述問題が復活して現在に至ります。
試験の難易度を数値化する方法
難易度を数値化するためにはどのように考えればよいでしょうか。
試験の難易度の推移を紹介する前に、試験難易度を数値化する方法について解説します。
入試では基本的に成績順に合否が決まるので、志望校に合った偏差値を取ることが重要な課題となります。
同じ点数を取れば同じ偏差値になる試験は、同じ難度と言って良いでしょう。
そこで、点数と偏差値が一定となるような、標準偏差と平均点の条件を示した等難度線というものを考えました。
標準偏差は平均点の一次関数になるので、等難度線は直線になります。
しかし、目標とする偏差値によって等難度線の傾きは変わります。
同じ偏差値の等難度線同士の距離を測定することで、難度変化を正確に認識することができます。
試験の難易度って平均点の上下だけで決まるんじゃないの?
平均点の変化も大事ですが、標準偏差も考えなければ正確に数値化することができません。
平均点が上がっても難化するなど、平均点の上下だけでは判断できない例を紹介しましょう。
平均点が高くなる場合、全体的に点が取りやすくなるので試験は易しくなりますよね。
つまり、等難度線の右側が易化傾向、左側が難化傾向です。
平均点が上がっても、等難度線より左側であれば難化傾向となる点に注意してください。
逆に平均点が下がっても、等難度線より右側であれば易化傾向となります。
易化傾向では、より高い得点を取らなければ同じ偏差値とならず、難化傾向では、今の点数よりも低い点数で同じ偏差値になります。
これが標準偏差を考慮した等難度線の考え方です。
目標にしたい偏差値の一例(難関高校4校抜粋)
偏差値によって等難度線が変わる事は上で説明しましたが、志望校を目指すにあたって、どの偏差値を目標にすれば良いのでしょうか。
目標とすべき偏差値の一例を紹介しましょう。
このブログでは、いくつかの高校でA群合格のボーダーラインを推定しています。
2024年の試験結果から、点数と偏差値の関係性、そしてA群合格の推定ボーダーラインは上図のようになります。
各々の高校のボーダーラインについては下の記事をご参照ください。
よく見る偏差値と違うんだけど…
他サイトで紹介されている偏差値は、高校入試の模試の結果を反映していることが多いです。しかしこのブログでは入試本番の試験結果を元に解説しているため、ここで紹介する偏差値と他サイトで紹介されている偏差値は異なる場合があります。
また、A群のボーダーラインは公表されておらず、あくまで推定です。個々の考え方によっても偏差値は多少前後することをご了承ください。
茨城県高校入試の近年の試験難易度の変化
等難度線同士の距離をわかりやすく描写するために、2021年と2024年の点に等難度線を引きました。
図中の黄線が、目標偏差値が70の等難度線、赤線は目標偏差値が60の等難度線です。
2022年、2023年、2024年で難易度はほぼ変化していないことが分かります。
それでは具体的に何点とれば偏差値60または偏差値70に到達するのでしょうか。
図中の赤線が偏差値60、青線が偏差値70を得るための5教科合計得点の推移を示しています。
目標となる偏差値をとるための点数は、先ほど紹介した等難度線間の距離に比例して変化します。
志望校の倍率と募集定員が変化していない場合、ボーダーラインはこの点数の変化に追随して上下します。
では具体的にボーダーラインは何点上下しているのでしょうか。さらに分かりやすく紹介しましょう。
茨城県立校 難関高校のボーダーラインの変化
2024年を基準点として、偏差値60、偏差値70をとるための点数の変化値を各年度でプロットしました。
志望校の募集定員、倍率が前年と比べて変化していない場合、合否のボーダーラインは2024年を基準としてこのように変化します。
2022年以降、採点ミス対策が施されて以降でボーダーラインの変化はほぼ無く、-3~+2点程度を推移していることが分かります。
各教科の出題傾向も2021年から2022年に大きく変わった時から比較して安定してきたため、今後もしばらくは大きな変化は無いと予想します。
茨城県公立高校入試|難易度とボーダーラインの変化まとめ
結論
- 2021年に採点ミスが発覚し、試験難易度が大幅に易化した。
- 2022年以降は2024年まで難易度はそれほど変化していない。
- 難関校のボーダーラインは2022年以降は2024年まで-3~+2点程度の変化でほぼ一定。
- 2025年以降もしばらくは総合的な難易度に大きな変化は無いと予想する。
試験問題の大幅改定があった2022年以降は、総合的な難易度はあまり変わりません。
志望校の倍率と定員が2022~2024年と同じであれば、今後もしばらくは大きく変化することは無いと考えられます。
実際のケースでは倍率は変化し、附属中学校の併設を経て募集定員の減少が発生している高校もあります。ここで紹介したケースは一般論として捉えていただき、志望校個々のケースにあわせて総合的に判断してください。
それでは陰ながら皆様のご検討を祈っています!(・ω・)ノシ
コメント