やっぱ知りたいのは改善方法やんな!今回は基本的な改善方法を伝授するで!
ぼくは言葉を話し始めた頃から吃音症に悩み、30年経過した現在も吃音症と闘っています。今でも何かしらで毎日何度かどもりますが、生活に支障のない範囲まで克服することができました。
このブログは子どもの成績を上げることを主なテーマとして扱っていますが、今回は4記事に渡って吃音症に対して今までぼくが感じてきたこと、そして同じ悩みを持つ吃音者への助言を紹介します。このページは、その2回目の記事です。
吃音症と闘ってきた30年間、ぼくは成功と失敗をひたすら繰り返してきました。その中でぼくなりに編み出した対策法を紹介します。初めに断っておきますが、日常生活に支障が無いレベルや、どもっても気づかれないレベルまで改善するには長い時間がかかります。決して一朝一夕でできるものではありません。だけど使えるテクニックは知っているのと知らないのでは雲泥の差がつくものなので、これから紹介することは全て実践して身につけてほしいです。
この記事を読んでほしい人
- 子どもが吃音で悩んでいる保護者
- 回りに吃音者がいる方
- 吃音症の方で、具体的な改善方法が知りたい人
この記事の結論
- はじめに:自分の弱点を知ること
- 改善方法:とにかく人と話して以下の対策方法を練習すること。
- 吃音対策①:フィラー、前置きを用いて苦手な言葉をできるだけ文頭から遠ざける
- 吃音対策②:類語を使ったり、言い回しを変えることで苦手な言葉を回避する
- 吃音対策③:前置き職人になって話し始めるタイミングを調整する
吃音の改善の前に知ってほしいこと
症状が固定されてしまったら、吃音は完治することが難しい障害なので一生吃音に悩むかもしれません。完治に執着すると、なかなか期待通りならずに自分に失望してしまうことや、余計に社会に適応できなくなってしまうことになりかねません。従って、完治を目指さないことが一番初めに心がけねばならないことです。
完治が無理ならどうすればいいか、それは誤魔化し方を習得することです。どもりを誤魔化しながらぼくらは生きています。普段対話している人の中で、ちょっと違和感があるな、と感じる人がいればそれは吃音者かもしれません。
とにかく僕らは吃音が表面化しないように細心の注意を払いつつ誤魔化しながら生きています。だから吃音者が目指す目標は、非吃音者にバレないレベルの誤魔化し方を身に着けることです。
誤魔化すっていうと聞こえは悪いかもしれんけど、吃音の症状が出ることを防止する策ってところやな
会話の際に、人は相手の言うことを理解して何らかのリアクションを起こすまでの時間が0.3秒ほどだと言われています。バレないレベルまで改善するためには、相手が話し終わってから0.3秒以内に何かしらのリアクションを取って、その後すぐに話し始めることが求められます。言いたい内容が頭に思い浮かんでから吃音を回避しつつ言いたいことを相手に伝える。この一連の動作を1~2秒以内に行うことができれば、会話相手に吃音を気づかれないか気にならない程度で話すことができます。この誤魔化し方には吃音症特有の語彙力を身につけなければならず、何度も練習を積んで失敗と成功を経験しなければなりません。
吃音の改善方法決定版
まずは自分が苦手とする言葉を発見するべし
きみにとって発音が難しい単語は何?
ぼくはこんな単語が苦手やで
- 「か行」、「た行」から始まる言葉
- 「あ行」から始まり、二文字目に「か行」、「た行」が来る言葉
ぼくの苦手な単語の具体例
- 「国語」、「昨日」、「苦しい」、「毛糸」、「子ども」、「誕生日」など
- 「お母さん」、「お疲れ様です」など
あなたもいくつか例を挙げてみましょう。いくつくらい法則がありましたか?
どの行で始まる単語でもどもった経験があるかもしれませんが、特にどもりやすい傾向にある単語というものがあるはずなので、特に苦手な単語のみを抽出してみましょう。
因みに、僕が今まで出会った吃音者も「か行」と「た行」が特に苦手な方が居ましたので、もしかすると私と同じような単語が苦手な方は多いのかもしれません。
また、話している途中よりも話し始めるタイミングでどもりやすい傾向があることは、吃音者の特徴ですから皆さんも同じだと思います。
これから紹介する対策の根本は単純で、自分の苦手な単語から始まる言葉を避けながら話すというものです。だから事前に自分の弱点を見つけることが第一歩なのです。
以下の対策方法では具体例を紹介していますが、ぼくと同一の弱点を持つ人を想定しています。
どもる直前の感覚をつかむべし
どもる直前は、急に言葉がつっかえるような独特な感覚があります。あの感覚を言語化するなら、急に舌の奥の喉あたりに急に何とも言えない不快感が押し寄せてくるような感じと言えるでしょうか。むしろ忘れろといっても吃音特有の独特な感覚なので忘れないとは思いますが、あの感覚を忘れないでください。
この感覚を伴った状態でそのまま話し始めてしまうと絶対にどもります。よくある失敗は、不快感を感じていても「話さなきゃ」という思いが勝って、そのまま話し始めようとして派手にどもることです。どもる感覚があるときは不快感が消えるまで話し出さないようにしましょう。あたりまえのことですが、とても大事なことです。
無理かもーって思ったら、まずは対策のことを思い出してや
あの不快感を感じたら、これから紹介する対策方法を実践してください。対策の方法を知ることも大事ですが、対策を使うタイミングを知ることも重要です。
吃音の改善策① 前置きを置いて苦手な言葉を文中に移す
この方法の目的
- 最もどもりやすい文頭から、どもりにくい文中に苦手な単語を移す
吃音が出るのは話始めです。話始めに発音しにくい単語があるとどもりやすくなります。じゃぁ苦手な単語を文頭から文中に収めてしまおうぜっていう対策です。ポイントは苦手な単語を文頭から離せば離すほどどもりにくくなることです。今でもほぼ毎日ぼくが使う常套手段の一つで、最大のメリットは自然に誤魔化すことが出来る点です。
「まぁ」「そのー」「いやぁ」「えー」などのつなぎ言葉はどんな人でも毎日使うと思います。このつなぎ言葉はフィラーと言われます。
フィラーを文頭に持ってくるだけでも効果はあるのですが、フィラーだけでは苦手な単語を十分に文頭から離すことができません。苦手な単語を文頭から離すほど効果が大きいので、2語や3語で終わるフィラーだけでは心もとありません。そんなときに活躍するのが会話の内容に合わせた短い前置きです。
会話は主に3パターンしか存在しません。それは話題の提起と、肯定、否定です。会話は話題の提起から始まって、話題に対して肯定的な意見を述べるか否定的な意見を述べるか、ざっくりと会話はこの3パターンに分けられます。
提起の際にどもりそうになったらどの様に話始めればよいか。ぼくの場合、○○が言いにくい事だとすれば以下の文脈を使います。
- 「あのー、そういえば○○って・・・じゃない?」
- 「なんだろう、○○って・・・・な気がするんだよね」
- 「やばいの見つけたんだけど○○が・・・してたんだよね」
とりあえず文頭から5文字以上苦手な○○を離すように心がければ格段にどもりにくくなります。
肯定と否定の場合もそれぞれ例を挙げます。
- 「そうだよねぼくも○○って・・・だと思うんだよね」
- 「いやぁまぁそうかもしれないけど○○は・・・と違うと思うんだよね」
肯定か否定の場合は、ひとまず自分がどっちの立場をとるかを発話のときに明確にします。「そう」か「そうじゃない」か。否定の場合は理由を述べる必要があるので、話す内容が多くなってちょっと大変ですよね。
- 苦手な言葉を文頭から5文字以上離すこと。
- 5文字以内に自分の苦手な言葉(「か行」や「た行」など)を入れないこと
会話に合わせて無限にカスタマイズできるため、慣れれば①だけで吃音を防止することができます。しかし慣れていない人にとっては①だけで吃音を防止することはとても難易度が高いですので、以下の②や③も重ねて習得しましょう。
また、場面に合わせたフィラーや前置きの語彙力を鍛えることで、より自然に吃音を防止することができます。これには人と対話して経験を重ねることが一番重要です。
吃音の改善策② 会話のタイミングをズラす
この方法の目的
- どもりやすいタイミングをずらして発話する
- ①でも不快感が消えない時に、自然にこの対策に移る二段構えが構築できる
- 長く話すことで緊張を緩和する
吃音しやすい状況には波があることはご存じでしょうか。苦手な言葉でもすぐに出てくるときもあれば、どうしてもどもってしまうこともあります。またどもり方の程度、つまり酷くどもってしまう時もあれば、周囲の人が注意して聞いていない限り気づかれない程度に軽くどもってしまう時もあります。
今話し始めたらどもってしまう、という独特の不快感に襲われたときに話し始めるタイミングをずらすことで緩和することができます。上の①を使っても不快感が消えない場合は、二段構えでこの対策を講じましょう。この方法にはどもりやすいタイミングを外すという意味もありますが、とりあえず話しやすい言葉を場面に合わせて適当に選んで話すことで緊張を緩和するという意味もあります。吃音の緊張感は話すことによって解消されやすいです。
波形の周期は人それぞれで異なると思いますが、ぼくの場合はだいたい数秒から数十秒程度タイミングをずらせばうまく話せるようになります。方法は①と似ていて、①を繰り返すことで自然にタイミングをずらす手法です。つまり言いやすい言葉をひたすら並べて前置き職人になることです。数十秒程度の時間を稼ぐことができれば緊張も緩和されて不快感は消えるでしょう。①で紹介した会話の3パターンのうち話題の提起について具体例を紹介します。
話題の提起例:普段見ているドラマを友達に紹介したいけどドラマの題名○○が言いにくい場面
- 「そういえばちょっと面白いドラマがあるんだけどさぁ、なんだっけなぁ水曜日の9時からやってるんだけど。名前が思い出せないんだけどゾンビものの最新作なんだよね。面白いのは、今までのゾンビものって・・・(ドラマの内容に関する話題)。あぁ思い出したわドラマの名前〇〇っていうんだけど知ってる?」
要点は一呼吸置いた後でも話し始めの部分に自分の苦手な言葉を入れないことです。例の場合は文頭から5文字以内に「か行」と「た行」が入らないように意識しています。
吃音の改善策③ 類語に換えたり言い回しを変える
この方法の目的
- どもりやすい言葉を、どもりにくい言葉に置き換える
- ②の最中に言い回しを考えておくことで、自然にこの対策に移る三段構えが構築できる
調子が悪いときは②でも不快感が消えないこともあります。どうしてもどもってしまいそうな時には言葉を言い換えましょう。ただし咄嗟に類語を出すことは難しいので、②で話している最中に言いにくい言葉の別の言い回しを考えておくと①、②に続いてスムーズに三段構えを取ることができます。
この対策の場合、とにかく言いたい言葉の言い回しを変えます。例を挙げましょう。
- 「誕生日」:「生まれた日」
- 「お母さん」:「母親」
- 「国語の先生」:「あの先生」
すぐに思い浮かぶような言葉なら簡単ですよね。だけど言い換えられない言葉の場合は、①を使います。例えば・・・
- 「きのう」:「そういえばこの前、昨日だったと思うけど・・・」、「いつだったかな、昨日・・・・」
こんな話し方をします。
- 言いやすい言葉で始めること
- 類語や言い回しを瞬時に思いつくためには練習量が必要
吃音症の対策:よくある勘違い ~話す前に深呼吸~
これってよく言われてるけど、ぼくからすると悪手やで
よく話す前に深呼吸して緊張を和らげることが、効果的な対策の一つとして語られることがあります。でもこれってやったことがある人なら分かると思うのですが、めちゃくちゃ難しい事なんです。
緊張は吃音症を誘発する要因の一つであることは確かです。しかし、話し始める前に一呼吸置くだけで緊張を緩和することはとても難しいです。ただでさえ吃音特有の不快感に襲われている中、数秒で緊張をほぐすことは想像以上にハードルが高いものです。
やらないよりはマシですが、この手法で何とかなるのは上で紹介した①や②、③の対策を使って極めて短時間で緊張をコントロールするという経験を数多く積んだ上級者だけと言っても過言ではないでしょう。自信が無い場合はできるだけ深呼吸による緊張の緩和方法を避けて上で紹介した①や②、③を主な対策方法として実践してください。
吃音症の対策まとめ
吃音症を一朝一夕で改善することは困難です。吃音症の改善策は、自分が苦手な単語や特徴を把握して、それを回避するような言い回しを用意することや、そもそもどもりやすい文頭に言いやすい前置きを置いて苦手な言葉を文頭から引き離すことが効果的です。言い回しの変更や場面に応じた前置きをとっさの会話で引き出すためには、何回も練習して失敗と成功体験を積まなければ身につきません。
そのためには、まずは人と話すことに慣れましょう。
とにかく吃音症の改善は人との会話無くしては実現できません。何度も苦手な言葉を言う場数を踏むことで、少しずつですが吃音症の改善のための語彙力を向上させることができます。対策方法に気負付けながら会話の経験を重ねるすることで、気にならない程度まで吃音症状は緩和することができます。
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