
筆者はこれまで1万件を超える通信教育の口コミを分析してきました。
この記事では通信教育の利用者が評価する生の声を元に、通信教育のメリットやデメリット、選び方を解説します。
では詳しく見ていきましょう。
結論:通信教育の最大のメリットとデメリット
最大のメリット:将来的に役立つスキルが身につく
「計画➡実行➡振り返り」のサイクルは、勉強を自己完結するために欠かせません。
何をいつまでにどこまで進めるか、通信教育では計画や目標の設定から始まります。
自分で考えながら進め、勉強したら振り返って弱点を復習する。
生涯に渡って役立つ勉強法が身につく点が通信学習の最大のメリットです。
最大のデメリット:勉強習慣が無い子は続けることが非常に難しい
通信教育は、やらなくても親以外は注意しない環境なので強制力が全くありません。
言わないとやらない子や、言ってもやらない子は続けることが極端に難しいです。
勉強習慣が付いていない子は、まずは塾や家庭教師など対面で改善した方が良いでしょう。
逆に学校の宿題も毎回やっていて、毎日勉強する習慣がある子は安心して始めることができます。
通信教育のデメリット3つ

①モチベーションの継続が難しい
今まで約1万件の口コミを分析してきましたが、利用者の7割がモチベーションの維持の難しさを指摘しています。
始めた当初はやる気があったのに、気付いたらやらなくなっていた、なんてことは珍しくありません。
集中力を研究した文献では、始めた当初の「やる気」は時間と共に減衰することが分かっています。
勉強習慣がない子は、始めてすぐに習慣化することが求められます。
②保護者の負担が大きくなる家庭もある
「やりなさい」と言うこと自体保護者にとってはストレスですよね。
勉強する習慣が無いご家庭は、声掛けしないと続かないので保護者の負担は大きくなります。
特に共働きならお子様を見れる時間も限られるので、自信が無いご家庭は塾の方が無難でしょう。
③勉強以外にもやることが多い
通信教育は、与えられた教材を消化するだけでは効果を最大化できません。
例えば弱点単元の復習、演習量の増強、暗記など必要に応じて今の自分に足りない学習を見つけて補強する作業が必要です。
通信教育は個別に進め方を調整してくれないので、「自分に合った勉強法」を見つけて自分で進め方を調整しないといけません。
そのために学習計画を立てたり、習熟度の管理、弱点の把握など勉強以外にもやる事が多いです。
勉強を進めるだけでも精いっぱいという子は、通信教育を通して自分のキャパシティを広げましょう。
通信教育のメリット4つ

自律した勉強ができるようになる
成績を上げるには「自律的な学習」が欠かせないと文科省も言っています。
具体的には「計画➡実行➡振り返り」をループすることで、通信学習では自分で進めるスキルを育てることができます。
上で「自分で勉強できないと厳しいよ」と脅しましたが、実際はそんなにシビアな世界ではありません。
計画や弱点の振り返りなど、専用ページでアシストしてくれるので進め方の知識がゼロでも進めやすい点が大きな特徴です。
自分で勉強を進めることは大学生、社会人になっても役立つスキルなので、今のうちに身に着けておきたいですね。
時間や場所を選ばずに勉強できる
通信学習を利用する人の8割は「自分のペースで進めることができる」点を評価しています。
通塾を必要とせず、授業など時間の制約もありません。
部活が忙しい日や家族旅行中でも、いつでもどこでも勉強できるのは利便性が高いですよね。
費用対効果が大きい
通信教育は全部込みで年間10~17万円くらいが目安です。
この金額で主要5教科はもちろん、音楽などの副教科も全部カバーできる通信教育も多いです。
安い個別指導塾でも期間講習をあわせれば年額30万円はかかりますし、大手塾なら100万円を超えることも珍しくありません。
塾と比べて圧倒的に安く成績を上げることができるので、コスパを重視したいご家庭にはまず通信教育を検討してほしいです。
映像授業など補助教材が豊富
最近の通信教育は教材を送り付けておしまいではありません。
多くの通信教育では、プロ講師による映像授業もあります。
弱点単元の理解を深掘りしたり、先取り学習で要点を押さえることに効果的です。
主教材以外にも人が採点する添削問題や、暗記・演習力を強化する副教材がついてくるものもあります。
特に苦手が多いお子様なら、副教材の多さで通信教育を選ぶ手もアリですね。
通信教育に向く家庭チェックリスト
安心して始めるためには、「毎日の勉強習慣」が欠かせません。
逆に「全く勉強する習慣が無い」人は挫折する可能性が高いので、通信教育には不向きです。
学習計画や振り返りなど、学習の管理も自分でやる必要があります。
習熟度の確認など、通信教育のガイドに従って勉強以外の管理作業にも慣れましょう。
通信教育と塾・オンライン塾との違い
教育サービスでは通信教育以外にも塾やオンライン塾、家庭教師など選択肢がたくさんあります。
それらと通信教育の違いについてまとめました。
通信教育は自分で進められる子に向いている
誤解を恐れずに言うと、塾は成績を上げる効率が悪いです。
なぜなら通塾、授業合間の休憩時間、それに自分に適さない課題も出るので必ず無駄が出てしまうんですね。
だから勉強を自分で進められる子ほど、塾よりも通信教育の方が早く成績を伸ばすことができます。
言わないとやらない子は個別指導塾の方が良い
「毎日勉強する習慣」がついておらず、言わないと勉強できない子は個別指導塾や家庭教師を利用するケースが多いです。
個別に学習計画を組んで、適切な課題を出してくれる塾なら「あとはやるだけ」なので勉強以外に注力せずに済みます。
進んでいないと塾側からも注意してくれるので、保護者の負担を減らすことができます。
ライバルと切磋琢磨したいなら集団指導塾
モチベーションを保つためには、ライバルの存在はかなり大きいです。
志望校のレベルが高くなるほど「やる気の維持」が難しくなります。
そして集団塾は合格実績も多く、ライバルがペースメーカーにもなるので合格の可能性がグッと上がります。
有名な塾ほど高額ですが、合格の可能性を少しでも上げたいご家庭は集団塾の方が良いでしょう。
通塾が難しければオンライン塾も検討しよう
近くに通いたい塾がないというご家庭は、オンライン塾という選択肢もあります。
インターネットの環境さえあれば場所を選びません。
通塾も必要ないので塾までの送迎もいらず、通学時間も有効活用できます。
学生講師やプロ講師の中から選ぶことができ、先生のランクに応じて料金が変わることが一般的です。
学生講師の場合は通信教育とほぼ同額で、月額1万円台で利用可能です。
おすすめの通信教育4つ
誰もが聞いたことがある有名な通信教育を比較します。
あまり知られていない通信教育だと、口コミも少なく評判の真偽を客観的に評価しづらいため除外しました。
もし「始めようかな」と迷っている方は、この中から始めると間違いありません。
ハイレベル志向ならZ会一択
Z会を知らない人はいないでしょう。
他社と比べると利用者の学業成績が高く、難関校を志望するご家庭向けの通信教育です。
特に難関校では配点が大きな記述問題で失敗しないことが大事になるので、どこよりもしっかり記述対策ができると評価されています。
定期テストでトップ層になりたい人や、難関校を志望している人はZ会が最適です。
とりあえず様子見なら進研ゼミ
ベネッセの進研ゼミも有名ですよね。
学力が平均前後の子が主な利用者層で、これから勉強に慣れていきたい家庭に選ばれています。
選択問題も多いですが「赤ペン先生」では記述力も鍛えることができます。
他社と比べてカバーできるニーズが幅広いので、迷っているなら「とりあえず進研ゼミ」で間違いないでしょう。
学校の勉強に少し自信が無いお子様ならスマイルゼミ
スマイルゼミもCMでお馴染みです。
学力が平均以下の利用者が多く、定期テストで平均以上を安定して取りたい家庭に選ばれています。
対話型のAIを用いて、通信教育のネックである「分からない時のサポート」が大きな強みです。
短期間に基礎だけ予習・復習したいならスタディサプリ
スタディサプリは社会人向けのサービスもありますよね。
費用の割に出来ることが多く、コスパが高いです。
基礎力をベースアップするための補助教材として非常に優秀で、先取り学習や苦手科目の克服に利用しやすいと評価されています。
通信教育で成績を上げるためのコツ
通信教育は継続すれば成績がグングン伸び続けるものではありません。
「続けているのに成績が上がらない」と悩むご家庭は、漫然と続けていることが多いです。
つまり通信教育を始めたら、成績を効率よく伸ばすスキルを身につけましょう。
「復習の頻度」、「学習の偏り」、「失敗の原因究明」の3点に常に気を配って学習を続けて下さい。
通信教育の近年の変化
タブレットが主流になっている
昔は紙テキストしかありませんでしたが、今やタブレットを使わない通信教育はほとんど見られません。
上で紹介した4つの通信教育は全てタブレットを使います。
特に学習の管理など、子ども1人では難しいことを簡易化できることは大きな利点です。
しかし利点ばかりではありません。
紙テキストと比べて集中力を阻害されやすいので、モチベーションの管理が重要です。
昔から大きく変わった利便性
ICTやAIの発達で、近年は急速に発展しています。
どれも昔には無かった特徴です。
長年、通信教育の最大の弱点は「わからなくても聞けない事」でしたが、AIの登場により環境が劇的に変わりました。
スマイルゼミなどに見られる、質疑応答にAIを使っている通信教育は今や一般的になりつつあります。
他にも添削問題がすぐに返却されるなど、タブレットを活かした機能向上も無視できない変化と言えるでしょう。
まとめ|通信教育のメリットとデメリット、進め方と選び方
通信教育って合う人と合わない人が極端なんですよね。
両者の違いは「学習を自己完結するスキル」を習得できるかどうかです。
タブレットやAIの登場のおかげで昔ほど「学習を自己完結するスキル」の習得は難しくなくなりました。
生涯に渡って役立つスキルなので、ぜひ今のうちに通信教育を通して習得を目指してみて下さい。
参考文献
この記事は筆者の受験・教育業界での勤務、口コミ分析の経験以外にも次の文献を参考に執筆しています。
重要な順に並べていますので、もし興味があれば一番上から見てみて下さい。
文科省が推奨する学習方法、指導要領に関する文献
- 文部科学省(2026)「深い学びの実装及び高等教育との接続について」関連資料
- 文部科学省「育成を目指す資質・能力と個別最適な学び・協働的な学び」
- 文部科学省「平成29・30・31年改訂学習指導要領の趣旨・内容を分かりやすく紹介」
- 文部科学省「中学校学習指導要領解説」
- 文部科学省「第1章 総則:中学校学習指導要領(平成29年告示)」
筆者は教育業界での勤務経験もありますが、現職は工学系の研究員で論文を読む機会が多いです。
記事執筆にあたり教育関係の論文も読んでいますので、参考にした論文の一部を紹介します。
集中力、持続性に関する研究論文
- Lally, P., van Jaarsveld, C. H. M., Potts, H. W. W., & Wardle, J. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40(6), 998–1009.
- Langner, R., & Eickhoff, S. B. (2013). Sustaining attention to simple tasks: A meta-analytic review of the neural mechanisms of vigilant attention. Psychological Bulletin, 139(4), 870–900.
- Klein, R. M., & Feltmate, B. B. T. (2025). The vigilance decrement: Its first 75 years. Frontiers in Cognition, 4, Article 1632885.
- Nishimura, T., & Sakurai, S. (2017). Longitudinal changes in academic motivation in Japan: Self-determination theory and East Asian cultures. Journal of Applied Developmental Psychology, 48, 42–48.
- Oga-Baldwin, W. L. Q., Nakata, Y., Parker, P., & Ryan, R. M. (2017). Motivating young language learners: A longitudinal model of self-determined motivation in elementary school foreign language classes. Contemporary Educational Psychology, 49, 140–150.
- Pattyn, N., Neyt, X., Henderickx, D., & Soetens, E. (2008). Psychophysiological investigation of vigilance decrement: Boredom or cognitive fatigue? Physiology & Behavior, 93(1–2), 369–378.
- Rodrigues, L., Pereira, F. D., Toda, A. M., Palomino, P. T., Pessoa, M., Carvalho, L. S. G., Fernandes, D., Oliveira, E. H. T., Cristea, A. I., & Isotani, S. (2022). Gamification suffers from the novelty effect but benefits from the familiarization effect: Findings from a longitudinal study. International Journal of Educational Technology in Higher Education, 19, Article 13.
学習の自己完結、自律学習、効果的な学習に関する研究論文
- Zimmerman, B. J. (2002). Becoming a self-regulated learner: An overview. Theory Into Practice, 41(2), 64–70.
- Panadero, E. (2017). A review of self-regulated learning: Six models and four directions for research. Frontiers in Psychology, 8, Article 422.
- Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students’ learning with effective learning techniques: Promising directions from cognitive and educational psychology. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58.
- Hattie, J., & Timperley, H. (2007). The power of feedback. Review of Educational Research, 77(1), 81–112.
- Shao, J., Chen, Y., Wei, X., Li, X., & Li, Y. (2023). Effects of regulated learning scaffolding on regulation strategies and academic performance: A meta-analysis. Frontiers in Psychology, 14, Article 1110086.




